不当解雇・パワハラ・セクハラに関して

不当解雇に関して

従業員を解雇するには、解雇に値する合理的な理由が必要です。客観的、合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない解雇は、不当解雇となります。また、客観的に合理的な理由がある場合であっても、予告なしで解雇する場合は、30日分以上の平均賃金を解雇される従業員に支払わなくてはなりません。

解雇は大きくは3種類に区別され、それぞれに解雇が認められる対象がありますので、下記にまとめてみました。ご自身のケースと照らしてみてください。ただし、あなたが抱えている解雇問題が正当な解雇か不当な解雇かを測れる万能の物差しはありません。ケースによりその判断は違ってきますので、あなたが会社から説明を受けた解雇の理由に疑問を感じたら、法律の専門家である私たち弁護士に相談することをお奨めします。

普通解雇

使用者の一方的な意思表示によってなされる労働契約の解約です。使用者は労働者へ30日前までの解雇予告、あるいは解雇予告手当の支給が必要となります。普通解雇の対象となるものとしては、怪我や病気により労働できない、著しい職務怠慢、業務命令違反などがあります。但しそれらは業務への影響や行為の程度に鑑みて、客観的に合理的な理由がなければならないと解されています。

整理解雇

事業の継続が困難な状況で、余剰人員を解雇すること。整理解雇は普通解雇に含まれますが、経営的な理由に起因するため区別されています。整理解雇の場合、一般的に、次の四要件を満たす必要があると考えられています。特定の個人を解雇したいために経営難を理由にしているとしたら、当然ながら正当な解雇とは認められません。

1. 本当に人員整理の必要性があるか
2. 解雇回避の努力を行なったか
3. 被解雇者選定に合理性があるか
4. 説明・協議は十分に行なわれたか

懲戒解雇

懲戒解雇とは、懲戒処分の一環としてなされる解雇であり、懲戒処分とは、使用者が労働者の違反行為に対して与えるペナルティーのことです。懲戒解雇の場合は、事前の解雇予告なしで即時解雇が許されています。ただし、懲戒解雇を行うには、就業規則において、あらかじめ懲戒事由が定められていなければなりません。懲戒解雇を行うことができると考えられる例は下記のとおりです。

1. 長期に渡り無断欠勤し、出勤の要請に応じない
2. 会社内での盗み、横領、会計上の不正行為
3. 業務に関連して、暴力、傷害などの犯罪を犯した
4. 採用時に、重要な項目について経歴を偽っていたことが発覚した
5. 重大な過失による営業妨害

解雇を禁じられているケース

ここまでは、どういう場合に解雇が成立するのかを見てきましたが、今度は逆に、解雇が認められないケースについて説明します。使用者は、下記の理由で労働者を解雇することはできません。

(01)  従業員の国籍、信条、社会的身分を理由とすること
(02)  業務上の理由による傷病による休業期間中及びその後30日間
(03)  産前産後の休業期間中及びその後30日間
(04)  労働基準監督署等行政機関へ内部告発したこと
(05)  女性であることを理由とすること
(06)  女性従業員が結婚、妊娠、出産したこと等を理由とすること
(07)  育児休業を申出、あるいは取得したことを理由とすること
(08)  介護休業を申出、あるいは取得したことを理由とすること
(09)  労働者が労働組合の組合員であること、労働組合に加入し、若しくはこれを結成しようとしたこと。若しくは労働組合の正当な行為をしたことを理由とすること
(10)  労働者が個別労使紛争に関し、行政機関に対し、援助やあっせんを求めたことを理由とすること
(11)  労使協定の過半数代表者になること、なろうとしたこと、正当な活動をしたことを理由とすること
(12)  労働者派遣の一般派遣業務の派遣可能期間決定の際の意見聴取等の労働者の過半数代表になること、なろうとしたこと、正当な活動をしたこと
(13)  公益通報を理由とすること

パワハラに関して

パワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいいます。「職場内での優位性」には、「職務上の地位」に限らず、人間関係や専門知識、経験などの様々な優位性が含まれます。

損害賠償を請求するためには、あなたが受けた嫌がらせが、パワハラと評価できる程度のものである必要があります。パワハラという言葉の定義は、明確に定まっているとは言えない状況にありますが、一般的には、以下の1から3の判断基準にしたがって判断されているようです。

1)
被害者が加害者より弱い立場にあること。上司と部下の関係などがそうです。

2)
本来の業務の範囲を超えた権力の行使があること。適正な業務指導の範疇を超えた嫌がらせや中傷・罵倒などで、人としての尊厳・人格を傷つけるような行為がこれにあたります。

3)
加害者の行為が、働く環境を悪化させていること。今後の雇用に不安が生じていること。これは、パワハラにより職場の環境を悪くしているかどうか、被害者が会社を辞めたくなるような状況を生んでいるかどうかです。


この3つの判断基準を満たすような嫌がらせについては、パワハラとして、損害賠償の対象になることが多いと思われます。
その上で、パワハラを受けたことを立証するための、証拠が必要になります。パワハラは、口頭でなされることが多いため、訴訟においては、言った言わないの争いになってしまえば、パワハラを受けたことを立証することは困難です。
鬱病になってしまったような場合は、医師の診断書をとっておくことも有効です。
近年は、パワハラに対して厳しい対処を行う企業が多くなりました。パワハラを行った側には、移動や解雇といった処遇が適用されることもあります。パワハラの加害者側として部下等から追及を受けた場合は、当人同士での解決は困難と思われますので、早い段階で法律の専門家に相談されたほうがよいでしょう。

セクハラに関して

セクハラもパワハラ同様、定義が明確に定まっているわけではありませんが、一般的には、以下の1から5の判断基準にしたがって判断されているようです。

1)
性的な言動があること。

2)
1)が被害者の意に反していること。合意の上であればセクハラにはならないということです。

3)
1)が職場で行われていること。職場とは、勤務先だけでなく、仕事のために出向く場所はおおむね含まれます。

4)
被害者が労働条件に不利益を受けたり、働く環境が悪くなっていること。セクハラに対する被害者の対応が原因となり、配置転換したり、昇格させなかったりするなどの不利益を受ける状況があるかどうかということです。「誘いを断ったら、転勤させると言われた」というのは、対価型のセクハラにあたります。

5)
体を触る(身体接触型セクハラ)、卑猥な話をする(発言型セクハラ)、女性が不快に感じるヌードポスターなどを職場に張る(視覚型セクハラ)などの行為が常態化していて、被害者の能力発揮に支障が生じていること。


セクハラもパワハラ同様、立証するためには証拠が鍵になります。相手からのメールの記録や電話の録音などは、後々重要な証拠となります。嫌な相手からの文面や声なので、消去したくなる気持ちは分かりますが、できる限り保存しておくようにしてください。もちろん身体に被害を受けた場合などは、すぐに医師の診断書を貰うことが大切です。
また、加害者側でいえば、近年は、身に覚えのないセクハラで追及されるといったケースも増えています。セクハラを行ったと認識されれば、組織の中での処遇面ではもちろん、家庭や社会の中での立場にも影響が出るでしょう。もし、あなたが身に覚えのないセクハラで追及を受けているなら、一人で悩まずに私たちにご相談ください。

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