法人破産

破産というとネガティブなイメージが先行しがちですが、アメリカでは、「返済不可能な借金をなくして、経営者に新たなチャンスを与えるための手段」とされています。
客観的に見れば、破産申立てを考える時点で、経営状態の自力回復は非常に厳しい状況にあると言わざるを得ません。

判断を先送りしても、債権者と負債額が増えるのみで、事態が好転することは、まずありません。
自力での回復が望めない以上、次善の策は会社にお金と体力が残っているうちに弁護士に相談し、破産を申立てることです。
破産を申立てても、従業員の賃金の相当部分の支払いは可能ですし、破産管財人が選任されて債権者への公平な配当が実施されるなど、破産申立てによるメリットは多くあります。
それなのに、申立費用さえ残っていない状態では、破産手続きを申立てることすらできず、状況をうやむやにし続けるばかりで、会社だけでなく従業員や債権者をさらなる苦境に追い込むことになってしまいます。
仮に代表者としての誠意からだとしても、破産申立前に資産を換価して得た現金すべてを賃金の支払いや返済に充ててしまい、破産手続きに必要な費用が残っていないといった状況に陥ることは、避けなければなりません。
このとき、売掛金、在庫や什器備品などの資産は、破産手続き開始後に換価して債権者への配当の原資となるため、債権者や従業員が持ち出すことがないよう保全に努めます。

会社の経営が傾き始めたときに、代表者の方が一番心配されるのは、従業員の処遇でしょう。
しかし、業績回復の見とおしが立たないなら、会社に余力を残して法人破産を選択することが、以下について検討することが彼らにより多くの利益をもたらす唯一の方法です。
●解雇の時期
●労働債権(未払賃金、退職金)
●雇用保険
●未払賃金立替払制度等

偏波弁済について

破産管財人の是正権限(否認権)行使の対象となるだけでなく、破産犯罪として刑事罰に問われる可能性があります。

一緒に考えさせていただきます。
重要なお取引先へは、説明を尽くすなど先行弁済以外の誠意の示し方を考えましょう。
執拗な督促行為は、弁護士が介入すれば解消されます。
親戚からの借金は、再就職後に得た賃金などで返済することもできます。
最適な方法を、ご提案させていただきます。

任意整理や債務整理とはここが違う、破産のメリット

● 債権者からの督促や連絡が止まります。
● 借金の支払い義務が免除されます。
● 差押えが停止されます。
● 代表者個人の資産は一部手元に残すことができます。
● 事故情報が抹消されます。
● 最低7年間、新たに借金をすることができません。

任意整理や債務整理とはここが違う、破産のデメリット

● 住所氏名が「官報」に掲載されます。
● 一部の職業で制限を受けます。
● 不動産や株式など換価の可能性。

破産の解決までの流れ

ご相談
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委任契約
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受任通知の発送
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債権調査票の精査
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会社資産等の保全
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書類準備
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破産申立て
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破産手続開始決定
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破産管財人による資産調査・管理・換価
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債権者集会
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債権者への配当
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終結・廃止の決定

代表者の債務整理

中小企業では代表者が会社の借金の連帯保証人となるため、代表者個人も同時に破産を申し立てるケースが多くなります。
● 破産手続中でも、就職活動ができます。
● 自宅を処分する必要がある場合には、少しでもご依頼者様に有利な条件での売却・換価手続き、新たな住居の確保をお手伝いいたします。
● 破産申立後に、代表者が新たな職に就いて得た賃金等の財産は配当原資にはならず、代表者が全額を受け取ることができます。

家族名義の資産

長期間にわたって家族がそれぞれ形成した財産は家族のものであるとするのが原則であり、代表者が破産しても家族の財産は影響を受けません。ただし、破産直前の名義変更などは財産隠しとみなされ、免責不許可事由となる場合があります。

よくあるご質問

Q. 代表者個人の破産申立ては行わずに、法人のみの破産申立てはできますか?

A. 可能ですが、代表者個人が法人の債務を連帯保証している場合や、会社から借入れをしているような場合には、法人と同時に破産を申立てることをお勧めします。

Q. 法人の破産申立ては行わずに、代表者個人の破産を申立てることはできますか?

A. 代表者個人の負債が個人名義である場合にのみ可能です。それ以外は、裁判所の運用で、法人と代表者個人について破産を申立てる必要があります。

Q. 法人破産を申立てる場合、予納金としていくら準備する必要がありますか?

A. 中小規模の法人破産の場合、東京地裁では2万円が基本となっています。債権者数が多かったり、換価すべき資産が多かったりするなど管財業務の負担が大きい場合には、高額になる場合があります。

Q. 代表者個人の破産も同時に申立てる場合は、別途予納金が必要ですか?

A. 法人と代表者個人の破産を同時に申立てる場合の予納金は、法人・個人合わせて2 万円となることが一般的です。

Q. 決算書類がなくても法人破産をすることはできますか?

A. 可能です。ただし、他の資料で資産・負債の状況を明確にするためのできる限りの努力、税理士への問合せなどが必要になります。

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