遺産を残す立場の方へのアドバイス

残された家族や親族、関係者が、あなたの死後に余計な争いを起こさないために、今のうちから準備できることがいろいろとあります。ここでは「遺言書作成」のルールや、円滑な「事業継承」、判断能力が衰えた場合に備える「成年後見制度」についてお話ししたいと思います。

生前に遺言書の作成を

自分がこの世からいなくなった後、残された家族が遺産で争いを起こすのは、想像するだけでも嫌なものでしょう。相続を“争族”にしないために、あなたが存命中にできるいちばん大切なことの一つが「遺言書」の作成です。遺言書にはいくつかの種類がありますが、現在、一般的に利用されているものに、「自筆証言遺言」と「公正証書遺言」の2つがあります。

自筆証言遺言

「自筆証言遺言」は文字通り、自分で書いて作成する遺言書です。自分で手軽に作れて、内容も秘匿できるというメリットがありますが、遺言書作成のルールに従っておらず無効になったり、紛失・偽造・改ざんされたりするデメリットもあります。また、誰にも遺言書のことを話していなかったために、死後、誰にも発見されることなく終わってしまうこともあります。このようなトラブルを避けるためにも、遺言書の作成は、専門家である弁護士に相談することをおすすめいたします。

公正証書遺言

一方、公証役場で作成するのが「公正証書遺言」です。「公正証書遺言」であれば、予め、専門家である弁護士が何度も相談の上で内容を確定し、その上で公証人に公証してもらうことになりますので、書類の不備等で無効とされることがありませんし、その内容についても、あらゆる角度から、法的なメリット・デメリットをご理解頂いた上での作成が可能となります。
また、遺言書の作成後は、原本が公証人役場に保管されるため、万が一、ご自身が持つ正本を紛失しても再発行を請求することができます。相続が開始された後に、相続人に確実に遺言書が渡り、自分の思い通りの遺産分割が行われるためにも、遺言書の作成は専門家である弁護士にご相談ください。

円滑な事業承継のために

今、あなたが会社を経営している場合、一度は事業承継のことを考えたことがあるのではないでしょうか。近年、経営者の高齢化が進むなかで、特に中小企業において後継者の確保や、後継者への円滑な事業の承継が十分になされていない状況になっています。中には、事業承継がうまく行かず、紛争が起きたり会社の業績が悪化したり、最悪の場合には廃業に追い込まれるケースも起こっています。まだ自分が健康で元気なことから、「事業承継なんて、先の話」と思っている方も多いと思いますが、事業承継は付け焼き刃でうまく行くものではありません。
現在の会社の財務状況、社長個人の資産の状況を正確に把握した上で、後継者を選定し、周囲の理解を得ながら効果的な事業の承継を行うためには、5年~10年を要すると言われています。
将来を見据え、早め早めに手を打っておくことで、いざという時でもスムーズな事業承継が可能になるのです。当法律事務所では、経営者であるあなたの事業承継に対しての思いや意思をじっくりとお聞きした上で、綿密な事業承継の計画を立案させていただきます。後継者の選定から育成へのアドバイス、またスムーズな自社株の引き継ぎの実施など、あなたの会社の円滑な事業承継をトータルにサポートいたします。

成年後見制度で、認知症などに備える

認知症を発症した高齢者や知的・精神障害を持つ人などが、契約や遺産分割などの法律行為をする際に、判断能力が不十分な場合があります。成年後見制度は、このような人たちの代わりに、家庭裁判所に任命された後見人が、本人に代わって財産管理や必要な契約の締結などを行うものです。成年後見制度は、大きく分けて任意後見制度と法定後見制度の2つがあります。

任意後見制度

現状では判断能力が衰えていない人が利用できる制度です。将来、認知症などによって判断能力が低下したときに備えて、自分で選んだ任意後見人と任意後見契約を結んでおき、後日、ご本人の判断能力が低下した場合、ご本人のために、家庭裁判所に後見開始の審判を申立てて、その人を任意後見人として選任してもらうことになります。ご自分で、将来を託すことができる人を指定しておくことができるため、安心して老後の生活を送ることができます。詳しい内容については、当法律事務所までお気軽にご相談ください。

法定後見制度

判断能力が衰えた後に、家庭裁判所が、親族等の申立により成年後見人などを選任する制度です。この場合、成年後見人は、親族等の意見を踏まえて、裁判所が決定することになります。

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