離婚を考えているけれど、離婚した後に慰謝料は支払われるのか。相場はいくらくらいなのか…など離婚にまつわるお金のことが分からないという人も多いと思います。
ここでは、そもそも慰謝料とは何か、支払われる場合の相場などお金の問題についてご説明します。また、未成年のお子さんがいる場合の親権問題、さらに離婚後の戸籍についてお話ししたいと思います。
慰謝料はどんな場合に支払われるのか。相場はどの程度なのか?
慰謝料って何?
慰謝料とは、離婚せざるをえなくなった精神的な苦痛に対する損害賠償金のことを指します。ですから、すべての離婚で慰謝料が支払われるというものではありません。離婚の慰謝料は、どちらか一方が相手の暴力や浮気などの不貞行為などによって、結婚生活が破綻して否応なく離婚に至った場合に、精神的苦痛を被った配偶者が請求できるというものです。お互いの性格が合わない、価値観が違うなどの場合には通常、慰謝料を請求することはできません。
どんな場合、慰謝料が請求できる?
慰謝料が請求できる場合、できない場合のケースは、具体的に下記の通りとなります。
現在、慰謝料が認められるケースの中で多くを占めるのが、不貞行為とDVになります。不貞行為の場合、配偶者だけでなく離婚の原因を作った第三者(不倫相手)にも慰謝料を請求できるケースもあります。慰謝料が請求できるのは離婚後3年となります。
慰謝料の相場は?
慰謝料の金額には、明確な基準はありません。算定にあたっては、以下を総合的にチェックしたうえで金額が割り出されます。
① 相手の違法行為の内容
② 自分が受けた精神的苦痛の度合い
③ 婚姻期間の長さ
④ 相手の社会的地位や支払い能力
⑤ 子どもの有無など
一般的には慰謝料の平均金額は、100万円〜300万円が多いようです。ただし、相手に十分な経済力と支払い能力があり、長期にわたり不倫を続けてきた場合などは、1,000万円以上の慰謝料を受け取れる場合もあります。いずれにしても、個別の状況によって金額は異なりますので、法律の専門家である弁護士に、まずは相談してください。
第三者に慰謝料が請求できるケース
慰謝料を請求できる相手は、違法行為を行った配偶者だけとは限りません。既婚者であると知りながら、配偶者と交際していた不倫相手にも、慰謝料を請求することができます(不倫相手が配偶者を独身だと過失なく信じていた場合は請求が難しくなります)。一般的に不倫相手から支払われる金額は、100万円〜200万円が多いようです。
そもそも親権とは、どのような権利なのか?
親権とは?
未成年のお子さんがいる夫婦が離婚を決断したとき切実な問題となるのが親権です。親権にはいったいどのような意味があるのか。ここでは親権について、簡単にご説明したいと思います。
まず、親権には「身上監護権」と「財産管理権」の2つがあります。
身上監護権:子どもの身の回りの世話や教育、しつけなどを行う権利
財産管理権:子ども名義の財産を管理し、契約などを行う場合に法律行為の代理人となる権利
通常は子どもを引き取った親が親権者となり、日常的に子どもの面倒や教育、しつけなどを行うと同時に、子どもの財産の管理者にもなります。しかし稀にですが夫婦間で親権でもめた場合に、親権から身上監護権の子どもの世話と教育の部分の権利を分けて、親権者と監護権者の2つにするケースもあります。この場合、子どもを引き取らない親が親権者、引き取った親が監護者として子どもの世話、教育、しつけをするという形をとります。
親権者はどう決められるのか?
まず、「協議離婚」の場合は、夫婦間の話し合いの上でどちらが親権者になるかを決定し、役所に親権者が記載された離婚届を提出します。夫婦間の話し合いで親権者が決まらない場合は、夫婦どちらかが離婚調停を家庭裁判所に申し立て、調停での話し合いによって親権者を決定します。調停でも親権者が決まらない場合は、裁判所の判断で判決が下され、親権者が決定されることになります。
離婚によって起こる経済面に次ぐ大きな変化は、姓(苗字)と戸籍の問題です。離婚するという意味は、結婚時に一緒になった戸籍を別々にするということです。結婚の際に、それぞれの親の戸籍から出て、新しい戸籍をつくったはずです。この時つくった戸籍の筆頭者でなければ、離婚後に戸籍から離れる必要があります。では、離婚して戸籍を抜けた場合、どのようなケースがあるのかについて、妻が婚姻によって姓を変えて、夫の戸籍に入った場合を例をご紹介いたします。
筆頭者でない場合の戸籍の選択肢
① 妻が旧姓に戻り、結婚前の戸籍(ご実家の戸籍であることが多いです)に戻る
② 妻が旧姓に戻り、妻を筆頭者とする新しい戸籍をつくる
③ 妻が結婚時の姓を続用し、妻を筆頭者とする新しい戸籍をつくる