話し合いによる示談
この段階で対応を誤ると、後に労働審判や団体交渉などに発展した場合、不利に働く可能性があるので、当事者同士の話し合いであっても、弁護士のアドバイスを受けた上でのぞむことをおすすめします。
労働審判
事業主と労働者の間のトラブルを迅速に解決するために設けられた制度で、地方裁判所で行います。特定社会保険労務士や司法書士は、代理人になることができません。
労働審判は、原則として3回以内の審議で審判に至るため、申し立てを受けた時点から短期間で答弁書などを作成しなければなりませんので、代理人として弁護士を立てることをおすすめします。
労働審判で和解に至らなければ、仮処分や民事訴訟(民事裁判)で解決をはかることになります。
労働審判の流れは、裁判所のHPをご参照ください。
仮処分
話し合いによる示談と民事訴訟の中間的な手続きとして、賃金仮払仮処分があります。労働問題の裁判(民事訴訟)は、解決までに時間を要し、1年かかることも珍しくはありません。
仮処分は、近いうちに民事訴訟を提訴して、訴訟で解決をはかろうとしている労働者が、決着までの生活費や裁判費用を得ようとして、解雇された状態のまま、雇い主に賃金を払うよう、裁判所から命令を出してもらうよう求める制度です。
仮の命令とはいっても、民事訴訟に類似の手続きであり、解雇の有効・無効について裁判所の判断が示されるため、仮処分手続きが最終的な決着の場となることもあります。
民事訴訟
労働審判や仮処分でも解決を見ない場合は、法廷における裁判で解決をはかります。
労働問題の場合は、私人の権利についてのトラブルを法律にてらして解決する民事訴訟になります。
民事訴訟に至っては、できる限りご依頼者様の通常業務の妨げにならないように配慮し、和解、勝訴に至るよう、全力を尽くしてサポートいたします。
示談
労働問題が発生したら、弁護士のアドバイスを受けながら、まずは 当事者同士の示談を目指す。
答弁書
労働審判の申し入れがあったら直ちに弁護士に依頼し、 迅速に答弁書等を準備。
体制
日頃から、 コンプライアンス重視の体制づくりを行う。
日本の法律では、一度雇用した労働者を解雇することは容易ではありません。一方的な理由で解雇すると、たいへん大きな労働問題に発展することがあります。
解雇には、大きく分けて3種類のパターンがありますが、いずれも解雇権の行使には、客観的、合理的な理由が求められます。解雇を考えるときは、専門家に相談し、順当な手続きを踏んでください。
普通解雇
使用者の一方的な意思表示よってなされる労働契約の解約です。
使用者は労働者に対し、30日前までの解雇予告、あるいは解雇予告手当の支給が必要となります。
普通解雇の対象となるものとしては、怪我や病気により労働できない、著しい職務怠慢、業務命令違反などがあります。但しそれらは業務への影響や行為の程度に鑑みて、客観的に合理的な理由がなければならないとされています。
整理解雇
事業の継続が困難な状況で、余剰人員を解雇することです。
整理解雇は普通解雇に含まれますが、経営的な理由に起因するため区別されています。
整理解雇の場合、一般的に、次の四要件を満たす必要があると考えられています。
1. 人員整理の妥当性
2. 解雇回避のための努力
3. 被解雇者選定の合理性
4. 十分な説明・協議
懲戒解雇
懲戒解雇とは、懲戒処分の一環としてなされる解雇であり、懲戒処分とは、使用者が労働者の違反行為に対して与えるペナルティーのことです。懲戒解雇を行うには、就業規則において、懲戒事由が定められていなければなりません。
以下、懲戒解雇を行うことができると考えられる例です。
1. 長期に渡り無断欠勤し、出勤の要請に応じない
2. 会社内での盗み、横領、会計上の不正行為
3. 業務に関連、暴力、傷害などの犯罪
4. 採用時に、重要な項目について経歴詐称
5. 重大な過失による営業妨害
懲戒解雇の場合、事前の解雇予告なしに即時解雇することができます。
以下の理由で解雇することは禁じられています
(01)従業員の国籍、信条、社会的身分
(02)業務上の理由による傷病による休業期間中及びその後30日間
(03)産前産後の休業期間中及びその後30日間
(04)労働基準監督署等行政機関への内部告発
(05)女性であること
(06)女性従業員の結婚、妊娠、出産
(07)育児休業の申出、あるいは取得
(08)介護休業の申出、あるいは取得
(09)労働者が労働組合の組合員であること、労働組合に加入し、若しくはこれを結成しようとしたこと、若しくは労働組合の正当な行為
(10)労働者が個別労使紛争に関し、行政機関に対し、援助やあっせんを求めたこと
(11)労使協定の過半数代表者になること、なろうとしたこと及び正当な活動
(12)労働者派遣の一般派遣業務の派遣可能期間決定の際の意見聴取等の労働者の過半数代表になること、なろうとしたこと正当な活動
(13)公益通報