成人年齢が18歳に~民法改正案が来年の通常国会に提出されることになりました
2016/11/15
政府は、成人の年齢を20歳から18歳に引き下げる民法改正案を、来年の通常国会に提出する方針を固めました。早ければ平成32年4月から、民法上の成人年齢が20歳ではなくなることになりそうです。
平成27年5月に公職選挙法の改正によって「18歳選挙権」が実現し、この夏の参議院選挙において、初めて国政選挙で18歳からの投票が行われたのは記憶に新しいところです。
これより前、平成19年5月に、日本国憲法の改正手続に関する法律(国民投票法)が成立していますが、この附則第3条第1項において、「満18年以上満20年未満の者が国政選挙に参加することができること等となるよう、選挙権を有する者の年齢を定める公職選挙法、成年年齢を定める民法その他の法令の規定について検討を加え、必要な法制上の措置を講ずるものとする。」と明記されています。つまり、この国民投票法施行の平成22年5月には、「18歳成人」にすることが、当時、目標とされていたわけです。
その後、この「成人」問題は先延ばしにされていたのですが、自民党「成年年齢に関する特命委員会」によって「成年年齢に関する提言」がまとめられ、この提言が、平成27年9月に党政務調査会を通過したことで、実現までのスケジュールがほぼ決定することになりました。
法務省は、11月8日にパブリックコメント(意見公募)の結果を公表しました。合計194件の意見が寄せられ、「施行に伴う支障がある」との意見が172件と多数を占めました。
具体的には、親の同意なく契約ができるようになるため、高額商品などの消費者被害やクレジットカードによる多重債務の被害が増えるといった懸念、親の離婚時に子供の養育費の支払いを「成人まで」と取り決めた場合、その支払い期間が短くなるという問題、また、高校生で成人になるため、教育現場の混乱を懸念する意見も複数あったとのことです。
法務省は文部科学省などと連携し、寄せられた意見を若者の消費者教育の拡充など政策立案に反映させ、また、成立から3年間を想定している国民への周知期間は、「5年程度が必要」などの意見を踏まえて延長を検討することになります。
今回の法改正では、「男性は18歳、女性は16歳」とされてきた結婚できる年齢は男女とも18歳にそろえられることになりますが、飲酒、喫煙や公営競技の解禁年齢や、少年法の適用年齢なども「20歳」(少年法は20歳未満)から「18歳」(同18歳未満)に変更するかは、今後の大きな検討課題となります。
ただ、これらの年齢引き下げには慎重論が根強く、今回は少年法改正案などの国会提出は見送られるようです。